脂質異常症
脂質異常症
次の項目に当てはまる方は、脂質異常症への注意が必要です。
3つ以上当てはまった方は脂質異常症の可能性が高いと考えられます。少しでも気になる方はお気軽に当院へお越しください。
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。具体的には、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態を指します。
「悪玉」LDLコレステロールは血管壁に侵入しやすい性質を持っています。それが血管壁に堆積すると、プラークと呼ばれるコブが形成され、血管内部が次第に狭くなります。この状態が続くことで血管が硬くなり、もろくなるため、動脈硬化と呼ばれています。プラークは血流を悪化させるだけでなく、破裂すると血栓を作り出す原因となります。この血栓により血流が阻害されると、その部位の組織や臓器が壊死するリスクがあります。これが心臓で起こると心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞につながり、深刻な後遺症を患ったり、最悪の場合、命に関わる危険性があります。実際、心疾患や脳血管疾患は日本人の死因の上位を占めており、決して珍しい病気ではありません。
脂質異常症は、自覚症状がないため自分で気づくことがほとんどない疾患です。多くの場合、健康診断などで異常な数値が見つかり、初めて気づきますが、そのまま放っておいてしまう方が多いのが現状です。
しかし、早期に脂質異常症の治療を始めることで、危険な病気になるリスクを減らすことができます。健康診断でコレステロール値を指摘された方、心当たりが少しでもある方はお気軽に当院へお越しください。
暴飲暴食による過食や栄養バランスの偏りといった食生活の乱れや、ストレス過多や睡眠・運動不足といった生活習慣の乱れが、脂質異常症の原因とされています。
特に食生活の乱れが主な原因として考えられており、いわゆる「食生活の欧米化」により、高コレステロール・高カロリーの食事が増えたことで、脂質異常症も増加傾向にあります。
骨格だけではなく血液などには、全て遺伝情報があります。遺伝が原因で、血液中に脂質が増えてしまうという体質を生まれながらに持っている場合もあります。これを家族性高コレステロール血症といいます。上述した生活習慣の乱れが一切認められない場合でも、遺伝により脂質異常症になってしまうケースもあります。
脂質異常症ではない他の病気に罹患し、治療のための投薬が脂質異常症を起こすケースもあります。
特に原因となるものとして、ステロイドホルモン剤、経口避妊薬などが挙げられます。接種することでホルモンにはたらきかけることから、コレステロールにも影響を及ぼし、脂質異常症を引き起こすことにつながります。
自覚症状によって脂質異常に気付くことが少ないため、他の病気や健康診断の検査の際に脂質異常症であることや、予備軍であることが判明することが大半です。
脂質異常症であるか診断するためには血液検査が必要です。以下は一般的な基準ですが、医師の診断が最も重要です。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール): 140mg/dL以上
HDLコレステロール(善玉コレステロール): 40mg/dL未満
トリグリセリド: 150mg/dL以上(空腹時採血)
脂質異常症自体には症状があまり現れにくい傾向があります。定期的な健康チェックを受けて、その中で脂質値を調査することで初めて気づくことが多い病気です。皮膚に黄色腫が見られることもありますが、それだけで脂質異常症だと判断することは難しいです。
自覚症状がないことにより、治療が遅れるケースも多く見受けられます。その結果、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞が引き起こされたり、脳卒中が発生したりすることで、初めて脂質異常症の危険性に気づくことになります。
しかしながら、その段階になると、命に関わる危険な状態になっていることが多く、身体に後遺症が残る可能性もあります。
基本的に脂質異常症の治療は、まず食事療法と運動療法をメインとした生活習慣の改善を行い、それでも数値が改善しない場合は必要に応じてお薬を用いた治療を行います。
脂質異常症の治療目標は、中性脂肪・LDLコレステロール・HDLコレステロールの数値を目標値まで改善させ、それを維持することによって「動脈硬化を進行させないこと」です。健康診断で中性脂肪やコレステロール値の異常を指摘された場合はお早めにご受診ください。早期の治療が非常に大切になります。
脂質異常症は、食事療法と運動療法を同時に進めていくことが大切になります。
また、アルコール摂取量の制限、禁煙なども行えるとより効果的といえます。
基本的には、1日3食規則正しくご飯を食べて、間食や夜の食事を減らし、1回の食事の量を腹8分目にすることなどが重要です。中性脂肪やLDLコレステロール値を上げるとされる“飽和脂肪酸”を含む食品を減らし、逆に体内でこれらを調節してくれる役割を持つ“不飽和脂肪酸”を含む食品を増やすことを意識しましょう。
飽和脂肪酸を含む食品の具体例
など
不飽和脂肪酸を含む食品
など
コレステロールを多く含む食品
など
運動療法は、脂質異常症によるコレステロールや中性脂肪の値を改善し、心血管リスクを減らす効果があります。また、運動を続けることで、肥満や糖尿病、高血圧といった生活習慣病のリスクを低減させる効果も期待できます。 運動療法に取り組む際には以下のポイントに注意してください。
運動療法に加えて、リハビリが脂質異常症の改善に役立つこともあります。特に、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患が原因で身体機能が低下している場合、リハビリが有効です。リハビリの過程で、筋力や持久力を向上させることができ、日常生活の質を向上させることが期待できます。 リハビリにおいて重要なのは、医師やリハビリ専門家と密に連携しながら、適切な計画を立てることです。患者の状態やニーズに応じたリハビリプログラムを選択し、個々の目標に向かって取り組んでいくことが大切です。 また、リハビリを行う際にも以下の点に注意してください。
運動療法とリハビリを組み合わせることで、脂質異常症の改善と健康維持が期待できます。医師のアドバイスを受けながら、無理のない範囲で運動やリハビリに取り組むことが大切です。そして、運動やリハビリの効果を最大限に引き出すために、日常生活でバランスの取れた食事と十分な睡眠も重要です。適切な治療法と運動を続けることで、脂質異常症による健康リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
生活習慣の改善を一生懸命行っても、なかなか期待した通りに血液検査の値が良くならないこともあります。そういった場合には、必要に応じて脂質を下げるお薬を使うことになります。お薬にはコレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬があり、その中でも様々なタイプがありますので、患者様の病態に合わせてお薬を選択する必要があります。